東京大学 大学院農学生命科学研究科 生物・環境工学専攻

生物環境工学研究室

Bioenvironmental Engineering Lab
The University of Tokyo

研究テーマ

光植物学研究用LED人工太陽光光源システム詳細は

自然環境下での実用的な植物生産あるいは植物利用型の物質生産に応用可能な知見を得ようとすると、自然環境に近い分光分布の光を用いた研究が不可欠である。 そしてそのためには、種々の分光分布の光を作出可能で、しかも異なる分光分布の光を短い時間間隔で連続して作出可能な光源システムが必要となる。 そこで、光植物学研究で取り扱われる波長範囲について地表面における太陽光(以後、単に太陽光)の分光分布に近い光を作出可能であり、また異なる分光分布の光を短い時間間隔で連続して作出可能なLED人工光源システムの開発に2002年後半から着手した。 2013年には、直径30 mmの被照射面積に対してではあるが、380~……

CO2施用速度-温室内植物個体群純光合成速度応答曲線のリアルタイム
推定法―デジャブ・データ抽出による温室環境制御用コア情報の構築―詳細は

温室内の全植物体(以後、植物個体群)の純光合成速度を大きく高めることができる現実的でかつ十分な費用対効果が期待できる方法としては、CO2施用を挙げることができる。従来のCO2施用法には、天窓や側窓が閉まっている日の出前後から日中の時間帯に温室内のCO2濃度を温室外のCO2濃度の2倍程度以上に維持するものと、天窓や側窓が開いている時間帯に設定濃度を温室外のCO2濃度以下あるいはそれと同程度に維持するものがある。後者は、Partial enrichment (Hicklenton, 1988) あるいはゼロ濃度差CO2施用(古在・大山, 2008)と呼ばれている。前者の施用法では、一日のうちの施用可能……

植物工場における”超”高付加価値物質生産:植物を用いたバイオ医薬品生産詳細は

人工光型植物工場の有効な活用法の1つとして、植物を利用した有用タンパク質生産に着目しています。有用タンパク質の代表的なものとして、医薬品タンパク質があります。例えば、ワクチンとしての作用を有する抗原タンパク質や、治療薬などとして用いられるモノクローナル抗体などです。従来、これらの医薬用タンパク質は、微生物や哺乳動物由来の細胞を培養することで、あるいは孵化鶏卵を用いてウイルスを培養することで生産されてきましたが、植物を用いることで、生産コストの低減、需要に応じた容易な生産規模の調整、生産過程での病原体混入リスクの低減などのメリットがあると考えられています。 私たちは、有用タンパク質生産に適した人工光……

光合成の光環境応答の解明、および施設園芸における光環境制御への応用詳細は

光環境が光合成に及ぼす影響を生理生態学的に解析し、その知見を温室や植物工場における光環境制御に応用することを目的としています。これまで、分光分布(光質)の影響、下位葉への補光の影響、連続明期の影響などについて研究を行なってきました。現在は、時間的に変動する光環境の影響に興味を持って研究を進めています。これらの研究には、分光分布制御や出力の時間変化の制御が容易で、局所的な照射も可能なLEDを活用してきました。生物学と工学の両者の知識・テクニックを利用して、興味深い知見の獲得と新技術の開発を目指します。 主要な原著論文・講演要旨 Matsuda, R. (2019) Effects of supp……